■無線局免許情報の公開を巡るオーストラリア行政の対応は・・・
 
1992年以来、無線局の監督官庁・ACAでは業務用を含む各種無線局の免許情報の一部を一般公開しています。各地の窓口での閲覧、インターネット上でアクセス可能なデータベース、希望者が有償で購入できるCDデータベースなどにより公開されることが開局申請書に以下の要領で明記されています。
 

▼一般公開されているのは以下の各項目です(一部例外を除く)

 
  • ライセンスナンバー(すべての局)
  • ライセンスカテゴリー(すべての局)
  • コールサイン(すべての局)
  • 業務目的(すべての局)
  • ライセンス有効期限(すべての局)
  • 免許人の個人名もしくは法人名(すべての局)
  • 無線局を実際に使用している会社・法人・組織名(一般業務局)
  • ライセンスクラス(アマチュア局)
  • 法人登記番号(法人登記をしている一般業務局)
  • 連絡用郵便宛先(すべての局)

※個々のアマチュア局は免許人(クラブ局の場合は代表免許人)の所持資格が公開され、包括的指定事項である周波数帯・電波形式・出力などの個別詳細は公開されません。一般業務局などは使用周波数や出力・電波形式まで公開されています。例外として、CB無線局などはクラスライセンスという形で包括認可されていますので、端末無線機個々のライセンス情報は管理・公開されていません。

 
アマチュア局のコールサイン以外にも、例えば、以下のオンライン検索でキャンベラの商業放送局コールサイン『2CA』を打ち込んでみてください。ライセンスの有効期限はもちろんのこと、所在地・電波形式・出力・アンテナ・使用周波数から、中継用UHFリンク局までの詳細が同じシステム上でオンライン公開されているのにビックリされると思います。
 
 
■包括免許という業界言葉について・・・
 
アマチュア局の免許情報の公開にあたって、住所・氏名・コールサイン・有効期限以外、同一資格を基として許可された免許状記載事項がそれぞれバラバラというのはあんまり合理的とは言えません。ライセンス情報公開を具現化する行政側にとっても、その費用を負担する納税者側にとっても、データベース更新にまつわる手間・コストの軽減/内容の精度維持に多いに役立つであろう『より簡素化された資格別包括的アマチュア制度』の導入が日本でも急務と思われます。

すべてのアマチュア局が、合法運用を心がけた場合の『煩雑な開局申請→審査→免許発給』に関わる双方の手間やコストの軽減、免許期限内の変更届・変更申請などの頻度低下も、最上級資格者に限った特権『統一指定事項を超える別途申請』以外の各カテゴリーでの簡素化が実現すれば、行政側・納税者側双方にとって計り知れないメリットがあるはずです。
 
▼包括免許制度という言葉の意味は?

日本国内でよく使われている『包括免許制度』という言葉の解釈が、時としてアマチュア側と行政側とで異なるという現実問題をよく耳にします。大別して『個々の無線局指定事項(の一部?)を包括する』、『個々の無線局全体をグループ化して包括する』という二通りの解釈の存在が原因なのかもしれません。(※:もしかして、日本のハム界識者の皆さんがよく引き合いに出されるUSAアマチュア局の場合は、局免許状+従事者免許証+資格別バンドル指定事項までが『包括』されているんでしたっけ?)

ほんの一例ですが、オーストラリアでは携帯電話やCB局のような、個別の端末無線局に対して免許を与えずに送信改造不可を前提に機種ごとに認定登録されたメーカー製デバイスだけを無資格使用できるカテゴリー(グループ)全体に与えられた免許を『Class Licence=オーストラリア的な包括的免許の意味』と呼んでいます。端末使用とは違った運用・操作知識や保守管理能力・技術力が必要とされる携帯電話の基地局やUHF/CBレピーター局などは『Class Licence』ではなく下記の『Apparatus Licence』によって個別に許可・管理されています。

※注:最近になって、UHF CB 22ch/23chに限ってテレメーターデータ転送とガレージのドアなど各種リモコンデバイスの付加がクラスライセンス指定事項に追加認可されました。

よって、EMEハイパワー申請などの別途申請局を除いた大多数のVKアマチュア局は、周波数・電波形式・送信出力が免許人の所持資格別にバンドル統一化されているだけで、商業放送局などの一般業務無線局と同じ『Apparatus Licence=個々の無線設備免許』というカテゴリー下で管理されています。従事者免許証と局免許状は日本と同様に分離され、アマチュア局開局申請書も基本的には放送局や船舶局など多数の一般無線局と同一の用紙を共用しています。オーストラリア的な解釈による『包括免許』に属する各種無線局(個々のCB局・携帯電話端末など)に対しては、個別コールサインや免許状は発行されません。オーストラリアでも、アマチュア無線従事者資格所持者に限ることなく、各クラス対応プロ従事者資格を所持していれば相当するアマチュア資格に応じたアマチュア局を開設できます。

オーストラリアの無線機関連業界で漠然と『包括免許』と表現した場合、一般的には『メーカー製の認定無線機使用に限った運用・操作資格不要のローパワー無線端末』 と9割方は誤解(?)されてしまいます。一般社会とは遊離してしまったかのようなアマチュア無線家独自の先入観や固定観念で決め付けずに、日本のアマチュア無線にとって一番ふさわしい『包括的JAアマチュア無線制度』の定義と内容をとりまとめ、アマチュア側からの提案を具体的に表現した上で要望・交渉をしないと一般社会や行政側の誤解を招いてしまう恐れさえ生じるかもしれません。

自作送信機での交信や実験にも大きな興味があるARA個人としては、日本国内でもハム界内部と外部では意味の解釈が違いそうな『包括免許制度』などという仰々しい言葉自体にこだわらずにオーストラリアと同様の『周波数・電波形式・送信出力の資格別一括指定だけで必要十分』だと思います。加えて、被混入側の状況によっては『免許内容をきっちり守った運用だから、有名メーカー製最新無線機で50Wしか出してないから、料金を払って保証認定してもらったから、技適機種のみを使用する局だから・・・電波障害・混入をはじめとする各種トラブルとは無縁!』とはとても言えないのがアマチュア無線の現状でしょうしね。

技適機種も認定制度もない国に住むARAの場合は、シャックの右隣の小学生に算数を教え、左隣の奥様に日本料理を手ほどき、裏塀を接するお宅が長期間留守中には郵便ポストと飼い犬の面倒を見て・・・、一般住宅地でハイパワーリニアアンプをトラブルフリーで使用する基盤が整いました。商店街ビルの一角オフィスでのハイパワー局開設時には、わざわざ出向いて電波混入トラブルの仲介してくれたACA(VK電監)のアドバイスに従って、30年前のラジオを愛用する隣オフィスの事務員オバサンに『電波混入に強い最新型AM/FMラジオ』をプレゼントすることによってBGMへのRF混入が一件落着。日本でも状況によっては、フェライトコアやRFフィルターではなくて、菓子折や商品券がコンテスト入賞やファーストエバーエンティティー獲得へのもっとも効果的な電波障害対策であったりするわけで・・・(笑)

VLFなど、既存のバンドル指定ハムバンド以外の周波数でアマチュア業務を試したい場合、新方式デジタルモードなど既存(規定)の電波形式以外による通信実験をしたい場合など、最上級無線工学試験と電波法令試験に合格した資格を所持する(CW試験合格の必要性はHF帯以下の周波数使用の場合のみ)一般個人や民間グループが申請しても、正当な理由と科学的・社会的な貢献性などを審査の上でOKが出ればハム資格による『アマチュア実験局』開設への道が拓かれています。