#02:コンニャク事件
 
ちょうど私が調理場でつまみ食いをしている所に新人ウエートレスさんがやってきました。

「すいませ〜ん、コンニャクありますかぁ?!」

もちろんコンニャク単体ではメニューには載っていませんが、一応は日本料理屋ですから在庫はありました。
「あるよぉ…、で、どうやって食いたいって言ってるんだい?」
板前さんの一人が気軽に応じています。
私は『ほー、近頃のオーストラリア人は日本食に詳しくなったな…』と感心。
「あっ、良かった。じゃあどんな風に料理して欲しいか聞いてきまあす」と、彼女は客席へ…。

「コンニャクをそのままガラスの器にいれて下さればいいそうです」
「刺し身コンニャクを食べたいんだな、こりゃ…かなり日本通のオーストラリア人みたいだぞ!」
ベテランの板前さんはコンニャクを薄切りにしてクリスタルの器にきれいに盛り付けました。
しばらくして・・・
「すいませ〜ん、なんだか違うみたいなんです…」
手付かずのコンニャク刺身をお盆に載せて、悪そうにウエイトレスさんが帰ってきました 。
「煮ろ…、ってか?!」
「お客様はコンニャクのお酒が欲しい…、とおっしゃるんですが」
「えっ?!、コンニャク酒?、ヒレ酒とかならわかるけどなー」

私にはすぐに判りました。食後のコニャックが欲しかったんですね、そのお客様は…Hi!