■生まれ変わって定着してからでは遅すぎる、カタカナ語改訂論のへの疑問

日本のアマチュア無線界の一部では相変わらず『カタカナ語改訂運動』がお盛んな様子です。
もちろん私は、いつも申し上げておりますように『きちんとした英語を使おう』というご提案に反対する者ではありません。しかし、日本語の中で日常/一般的に使用されているうちのごく一部のカタカナ語だけを取り上げて勝手に『英語』と解釈し、日常的に使われる現代日本語の中に『カタカナ表記したアメリカ英語(?)』を混用するべきというご提案に限っては『???!』とならざるを得ない心境です。

きちんと 英語を学ぶなら『英語』を直接学ぶべき。いまどき、日常使われているカタカナ語を介して正しい英語を学ぼうとするのは、モールス符号を『Z=ザーザー雨』『Q=救急至急』『F=古道具』などと覚えるようなもので、一見簡単そうに思えても現実には実用性に乏しいからです。
海外での日本語教育現場で誤解を招きやすいローマ字の使用を特殊用途に限ったり、国際語としての英語原産のカタカナ語でも日本語としてきちんと区別、正しく再英訳(?)された時の意味と日本語的発音をキッチリ教える教育機関が激増しているのも同じ理由です。
オーストラリアの日本語教育現場でのカタカナ外来語の扱いは完璧に『日本語』なのに、どうしてお膝元の日本国内では『カタカナ語=外国語』という扱いが推奨されているのか理解に苦しみます。

日本語・英語・カタカナ語・・・、語学教育専門家の真理子先生(オーストラリア国立大学では日本語を教え、日本の私立大学では英語を教えている二刀流先生)にも登場していただいて色々と考えています。何度考えても、『一般の日本人が日本人相手に日本人の心で話したり書いたりしている日本語の中に混ぜて使われているカタカナ語すべてを原語(米語?)風発音に作り換えるのは無理がある』としか思えません。

『Italy』を表す正しいカタカナ語(?)は、この課題にかなりのこだわりを持っておられることで有名な大OMさんが某月刊ハム雑誌の連載コラムで堂々とカタカナ表記しておられた『イタリが正解なのでしょうか?。それとも『イタリー』?、さもなくば『イタリア』?!。私にはよく判りませんが、『英語での発音を標準』とするならば「タリー=taly」のことだと、何の疑問もなく割り切って受け入れています。
SWL時代から私が神様に等しいぐらいに尊敬しているこの大OMさんが主張し続けておられる、スポーツ アナが日本語の放送でメジャーリーグというのはおかしい、メイジャーリーグと正しく発音・表記されるべき』『スポーツアナ』至っては実に日本的なカタカナ語の名作ですね。

英語の発音とは似ても似付かぬ『オパール』は日本語、『Opal=オープゥル的発音』は英語といった要領で、『英(外国)語を話すときには、カタカナ語を英(外国)語だと錯覚しないでしっかり区別する』ことが、真の国際人を目指すとすれば一番大切なことではないかと私は思います。アイスクリームの『バニラ』、この正しい発音や原語風カタカナ表記は、普通の日本人にはとっても難しいですよ!

カタカナ語のみならず、日本語の中で一般的に使われているA〜Zまでのアルファベットや1〜0の西洋数字も、私は便利な日本語の一種だと割り切っています。ですから、『2=ツー』でも、『V=ブイ』でも私個人は何の抵抗も違和感も感じません。 ところで、この<=>を『は』と読んだ方はいらっしゃいますか?、ほとんどの皆さんが『Equal=イークォー』という 英単語ではなくて<イコール>というカタカナで綴られた日本語を思い浮かべられたのではないかと私は想像しています。

ナンキン(南京)&ペキン(北京)&トンキン(東京)は冗談としても、日本語の東京は平たく発音して『トーキョー』、英語は『Tokyo』、一部のヨーロッパ語では『Tokio』でも構わないんじゃないんでしょうか?。それとも、きちんと日本人が発音するのと同じ発音やアクセントやストレスを外国人の日本語を解しない人達にも要求されまれますか?。カタカナ語にうるさいあなた・・・、中国語や韓国語を知らない相手との日本語会話の中で、『毛沢東=もうたくとう』『金日成=きんにっせい』『済州島=さいしゅうとう』などと口をすべらせてしまったことはありませんか?!。万が一そうだとしましたら、「何かが変・・・」ではないでしょうか?。

 ■A〜Z・1〜0、、、米語としてだけ使われてるとは限りません


日本語と米語以外にも多くの外国語の中で当たり前に使われているアルファベットのA〜Z、1〜0の数字は見かけは同じでもそれぞれが<外国語>です。その国によっては『W』は『ダブリュー』ではあり得ませんし、『2』も『ツー』ではないでしょうね。

見た目には全く同じA〜Zアルファベットや西洋数字でも、日本人とアメリカ人だけが使っているとは限りません。意味は同じでも、各国語によって発音や言い回しが違う場合も多いのですから、日本人だけが『同じ日本人を相手にカタカナ語を書いたりしゃべったりする時に、A〜Zを日本語会話の中で使用する時に、日本独自の発音や言い回しを許されずに<米語系の発音や言い回し>だけを強制されなければならない』とすれば、なんだか米国植民地・日本みたいでヒネクレ者の私には納得出来ないのです。フランス人達は自国語では『W』のことを『ダブル』とも『ダブリュー』とも発音していないと思いますし、きっと『2』も『ツー』や『トゥー』という発音ではないでしょう。

英国系正統英語(?)を使いたい人はお好きな英国系発音を、『英語の発祥地』を考えれば『方言』の一つとも言える米国標準語(?)を使いたい人はそれなりの発音をできる範囲で心がけ・・・でいいと思います。20年以上も暮している私がすっかり馴染んでしまった豪州系英語の特異な言い回しや発音は、決して『間違っている』とは申しませんが日本で英会話を学ばれている皆さん方には様々な理由でお薦め出来ません。

確かに英語は国際語かもしれません。しかし、アマチュア無線家であるなしに関わらず、英語を覚える深刻な必要性(or気持or時間)を持たない多くの日本人にとってのカタカナ語は日本語に他なりませんし、A〜Zや西洋数字は、五十音文字や無数の漢字にエクストラとして加えられた都合の良い<外来文字>に過ぎません。どうして日本の国語辞典や<現代用語の基礎知識>にカタカナ語が載っているのでしょうか?。英語を習う人達は、それぞれが必要とする/好きな種類の<英語>を覚えればいいのであって、時代の流れや業界事情によってそれなりの理由があって日本語化してしまったカタカナ語を<外国語>として扱うべきではないのではないかと・・・。

『デーじゃなくてディーにするべきだ!』リポビタンDという栄養ドリンクのTVコマーシャルにケチをつけた輩がありました。回答は『もともとリポビタンなどという英単語は存在しませんし、フランス語ではD=デーに近い発音がされていますから問題はないと思いますが・・・』とか軽くかわされたそうです。この広報担当者に座布団3枚!

■カタカナ語の源のすべてが標準米語とは限らない
日本語として日本人同士が使う場合にさえ原語的な発音を心掛けるのならば、まずいったいどこの国の言葉なのか原産地を調べなければなりません。例えば<英語>として使われていても、純粋な英語か・外来語の英語か、同じ英単語でも地域や国によって様々な発音があるとすればどれを標準カタカナ表記決定打として取り入れるか・・・などです。

日本人の我々が、外国語を勝手にカタカナ語に変換するにあたって『これが標準発音』と言い切る横暴さが許されるかどうかです。どこかの国の英語では『Major=メイジャー』ですが、オーストラリア国内に限っては国営放送のアナウンサーも首相も『マイジャー』と発音しています。
その昔駐在していたインドでは『マジャール』的な発音も多かったですが、アメリカ人達が、オーストラリア人やインド人に向って「メイジャーと発音するべきだ」と進言したなどとは聞いたこともありません。島国日本では、アメリカ事情にさえ詳しければ一応は『国際人』と呼んでいただける場合も多いそうですから、『原語の正しい発音と意味をわきまえて、英会話中に於いては、きちんとメイジャーと発音しましょう』というのが一応の妥協策かも?

VK6の州都『Perth』、同じ綴りでも、アメリカ人とオーストラリア人とインド人と日本人のそれぞれがお国訛りで発音すると『違った地名』に聞こえます。ヨーロッパの地名などは英語と現地語では綴りや発音にずいぶん違う場合もあるそうです。前記のイタリや済州島そして綴りから考えればとても英語原産の地名とは思えないVancouverとかも含めて、カタカナ語や漢字表記の外国地名を差別なく公平に改革するとすれば・・・さて、どれをとりましょうか?。 やっぱり、ナニゴトにも最高(?!)のアメリカを奉って、日本ならではの『米語を基準とするカタカナ表記に統一』?!
それともアメリカ人の皆さん方にも『ヴェネツィア』とかを心掛けて頂くように提案しましょうか?!

■カタカナの場合、ストレスはどう表記するの?
私が初めてオーストラリアにやってきた二十年以上前、シドニー空港でキャンベラ行きの切符を買おうとしてカウンターのオネーサン相手に往生しました。過去には、英語圏のあちこちで日系商社の駐在員なんかやってたこともあるクセに、恥ずかしながら『Canberra』という英語文字で綴られた英語の地名と『キャンベラ』というカタカナ地名しか知らなかったのです。

最初は日本語風にのっぺりと「キャン・ベラ」と何回も言ってみましたが通じなかったので次は英語風(?)に「キャンベーラ」と言ってみましたがこれも通じませんでした。「これはいかん!」とショックを受け、日本でキャンベラまでの航空券を買わなかったことを後悔しつつ「カンベラ」とか巻き舌風とか色々試しているうちにふと思い付いてカタカナ発音で「キャピタルシティー!」と言ってみました。

オネーサンは「Oh!、キャンベルア…」と一瞬にして解ってくれたのです。それからずいぶん経過した現在でも<Canberra=キャンベラ」のカタカナ語は正しく綴られてると思います。通じなかった理由は<キャンベラ>のストレスを置くべき『キャ』の部分を強く発音して『ベラ』の部分を軽く流す発音をしなかったがためでした。

シドニーの近所にはCampbellやKembllaなどの紛らわしい名前の都市があるのは、しばらく住んでから判りました。カタカナ語の綴りそのものは、原語の発音にかなり忠実でも、ストレスの置き方一つで<全く通じない英語>になってしまうのです。これが『カタカナ語=英語発音に忠実にカタカナ表記されていても英語としては通じなかった』私自身の数多い体験談の一つです。ちなみに、<キャンベラ>の語源は『英語』ではなくてオーストラリア原住民であるアボリジニ一族のみなさんの言葉です。

■カタカナ語の発音/ストレスが正しければ通じるとは限らない
面白い事件の現場に居合わせたことがあります。関西地方の商店街の旅行と思われる団体客がシドニー空港内にあるカウンター式サービスのコーヒーラウンジに群れていました。私の前に並んでいた日本人のオバサンが『ホッ プリーズ!』と注文しました。

実に素晴らしい<英語の発音>そのものです。青い目&金髪の店員さんは訳が分からずに「What did you say mum?」と聞き返しています。「あんたの発音、悪いんちゃうかぁ?」と連れのオバサンがひやかしています。「そんなコトあらへん!」とオバサンは自信を持って「 ホッ!」を繰り返していますがラチがあきません。誰が聞いても完璧な「Hot」に聞こえるのですが一向に通じないのです。

仕方ないので私が助け船を出しました・・・「コーヒーって言われてみたらたらどうですか?
「あっ、そやそや、カフィー プリーズ !」。オバサン、『プリーズ』まで付けちゃって大したもんです。店員さんは安心したようにニッコリして「OK mum、 Koh-hee Desu ne!」。

日本人観光客の皆さんでごった返すシドニー空港、完璧な英語発音だった<Hot=ホッ>は全く通じずに<コーヒー>が通じました。『いくらカタカナ表記を原語に忠実に改めたところで、英語として使われた場合に<本来の意味>が違ってちゃどうにもならない』ってコトですなぁ・・・?!

と・・・、今回はこれくらいで失礼します。
こちらは『ヴィー カイ ワン アイ アール アイ=豪州英語に忠実なカタカナ表記 』でした!

 
▼さらにしつこく後編に続く
 

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